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長い道のり、一区切り、そして…

2013年02月13日
「もう一度、この景色が見たかった」
某アイドルグループのメンバーの発言ですが、実に7年ぶりにケルン・フィルハーモニーの舞台に立った時に同じ気持ちを抱きました。やっとここまで這い上がってきた、と万感の思いでした。

今週末は、ついに3年半にわたるアレクサンダー・テクニーク教師養成課程の卒業試験です。自由なテーマでのプレゼンテーション(私のテーマはもちろん「アレクサンダー・テクニークによるフォーカル・ジストニアの改善」です)と、実技試験として生徒さん二人にレッスンします。

プレゼンの資料作りをしながら過去のメモを見たり、自分自身の辿ってきた道のりを思い出すと、感慨深いものがあります。

2006年に演奏時の不調を感じ始めたものの、はじめはそれほど酷いものではなく、少し休んだり、練習量を増やしたりで一進一退、しかし少しずつ悪化し、2007年秋には1オクターブほどしか満足に演奏できない状態になり、冬にハノーヴァーの専門医のもとでフォーカル・ジストニアの診断を受けました。演奏活動を休止、治療に専念、といってもこれといった治療法も情報もない状態でした。初めに処方された薬の副作用もひどく、その割にはあまり効果も出ず、服薬断念。両親をはじめ周囲に助けられてアルバイト生活をしながら「こうなったら自分で治す方法を探してやろう」といろいろ試し始めました。言語聴覚士によるリハビリ、ヨガ、フェルデンクライス、ディスポキネージス、瞑想、心理カウンセリングなどを経て、アレクサンダー・テクニークに出会いました。最初のレッスンで「これだ」と確信、自分もこんな魔法のようなレッスンをできるようになりたいと思い、1か月後には教師養成課程に入りました。この頃幸運にも音楽学校での職にありつき、浅はかにも「これでうまくいく!」感を味わったのです。
しかし、道は険しく、「わかった!」と思った数か月後には「がっかり」というような希望と失望の連続。もっと早く自分の演奏を改善したい一心。自分がしばらく試していた方法の中に、根強い習慣的な動作があるのをレッスンで見つけた時などには先生に「どうして分かっていたのにもっと早く教えてくれなかったのか!?」と文句を言ったりして、まさにアレクサンダー用語でいう「エンドゲイニング(結果だけに気をとられること)」でした。
孔子の言葉に「知るということは、あなたが何も知らないというのを知ること」という言葉があるように、アレクサンダー・テクニークのもつ大きな普遍性、深い法則、原理にただただ圧倒され、振り回される3年半でした。

そして最近、やっと僅かながら自分自身の演奏、アレクサンダー・テクニーク教師としての実習レッスンを通じて、自分の学んできたことの成果を実感しています。なんというか、「繋がってきた」感じです。その時には何もわからずに描いてきた数々の点が、振り返って見ると線に見えてきた、という感覚です。

「やっといろいろ解ってきた今、もう卒業試験をしなければいけないなんて…」と先生に言って、返ってきた答えは、
「探求は一生続きます。自分自身が完璧に準備できたと思う日を待っていてもそんな日は来ないでしょう。今、できる限りのことをやりなさい」

今までお世話になったすべての方に感謝を込めて。試験では今の自分のすべてをしっかり出し切ってこようと思っています。

3月25日から4月7日、日本に一時帰国します。ワークショップ、レッスンも企画します。今月中にはご案内させていただけるかと思います。
フォーカル・ジストニアの方に最大限対応させていただきたいので、ご興味がおありの方は早めのお問い合わせをお願いいたします。