フォーカルジストニア

 

 

フォーカルジストニア〔局所性ジストニア・音楽家のジストニア・奏楽手痙〕 

 

音楽家医学は、巨大な分野です。

 

音楽家医学:音楽家生理学    最新更新:2024年1月20日   

 

 

 

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Copyright(C) since 15.Sep. 2007 by 草間 律   

 

 

疑問点 

 

●音楽家のフォーカルジストニアは、本当に「脳」が原因?

 

 

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「脳の変化」は、「体の変化」の残した「足跡」

 

体の変化は、意識上にはっきりした「掻き傷」も「爪あと」も残さない。 

 

「体の一部」だけ差し替えるような考え方では、「全身の平衡」は保てない。

 

日常生活に差し障りのあるような薬剤投与・手術は演奏家の為にならない。

 

 

 

 

 

手のジストニア対象のレッスン【理論と実践】、その周辺事情ついて     

上段、右端のレッスン概要をクリックしてください。

 

(症状初期の典型的なプロセスについて追加)

 

 

 

疑問点 

 

音楽家のフォーカルジストニアは、本当に「脳」が原因?

 

 

 

音楽家のジストニアは、他のジストニアとは別の疾患ではないでしょうか?

 

体の機能は「ブラックボックス」。一点集中型で説明できるほど「単純」なはずはない。

 

 

 

仮説

 

1.    最初に体の変化。(筋・腱・筋膜の硬縮・血行不良・冷え)

 

2.    神経伝達経路の変化によるジストニアの発症。(指の巻き込み・口唇の震え)

 

3.    症状が長引く事によるの「脳の変化」

 

 

 

●「脳の変化は」二次的な現象で、「体の硬縮化」が先ではないか?

 

●「筋・腱・筋膜の変化」が原因とは考えられないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だとしたら・・・・

 

·      体の手入れが、何よりも先ではなのか?

 

·      「脳に新たな奏法を上書きする」が先に来るのは、勘違いではないか?

 

 

 

 

脳が原因説の矛盾点

 

●脳の変化のが「ない」のに、症状が「ある」人がいる。

 

(出典:Prof. Dr. Altenmüller & Prof. Dr. Jabusch の臨床検査より。)

 

●ラテックス手袋をはめて演奏すると、一時的に症状が消えたり、本番・試験では、症状が強くなる。

 

 

 

これらの観点から、「脳が原因」だと言い切るにしては、根拠が「弱い」のではないか?

 

 

 

 

 

怒って居る時は、すでに手先まで緊張している。

 

https://www.youtube.com/watch?v=Sf_6GlY4HN8

 

(体のどこで感じるのか?Enrico Glerean

 

症状だけを治そうとするのは不可能。

 

怒っている・悲しんでいる時には、練習しない!NEW!!

 

 

 

 

 

治療・奏法について

 

●奏法のリハビリよりも、体を「ふっくら」させることの方が先決なのではないのか?

 

 

 

血行不良・硬縮・冷え・過緊張のある体で、「生命観あふれる演奏」が可能とは思えない。

 

 

 

今の治療の現場には、2つの考え方があります。

 

●脳の変化が疾患原因である。

 

●別の原因が作用して、脳に変化が出た。

 

上記のどちらを取るかによって、対処法が決定的に分かれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下記は、特に症状が出やすい点。

 

1.    筋肉・腱(筋膜・結合組織)の萎縮・血行障害・冷え 

 

2.    奏法

 

3.    生活環境 (様々な一身上の都合)

 

 

 

上記1・2・3のうち、どれか一つ改善すれば、多少症状が緩みます。

 

·       「脳に変化がある」が、即ち、それが「原因」であるとは言い切れない。

 

·       治る時は、指・口唇ではなく、「全身」で治る。

 

·       姿勢がおかしくなれば、神経伝達系統に影響が出る。(眼球・足の裏の反応)

 

 

 

·       神経は傷つきやすく、修復しにくい。

 

·       神経・筋肉の両方の回復が必要。(必ず、並行して修復される訳ではない。)

 

 

 

 

 

·       その変化は、意識の上に「掻き傷」も「爪あと」も残さない。 NEW!!

 

·       それらすべての経過を「論理」「確率」「統計」で表すのは難しい。NEW!!

 

 

 

 

 

 

 

●創発現象・・一つ一つの単純な事の積み重ねが、「とてつもなく大きな現象」を生み出す。

 

 

 

Apollos Geißel アポロのガイセルProf. Dr. Altenmueller Prof.Dr.Jabusch, 2001

 

●アポロ(芸術の神)が、芸術の高みに近付く為に、自分で自分の体を痛め傷つける事。 

 

 

 

 

 

●カラダを暖め、血の巡りをハキハキさせよう!!

 

(筋膜/エネルギーの通り道を手入れする。)

 

  • 「脳」よりも、まず「体」への徹底的な体への手入れ (食事・運動・睡眠)
  • 「複雑系」という、ものの見方 と 「まるごと」という、とらえ方 (生活環境も身体も、複雑系の典型・・同じ物は2つない。)

 

 

 

システムの「平衡」が保たれている限り、「老化」は関係なし。 

 

 

 

まずは、落ち着いた生活環境。

 

  • 朝、清々しく・元気に起きられるかどうかは、回復の目安。
  • 「名も無い日々の生活習慣」こそ鍵。

 

 

 

 

 

  • うまく行っている時は、すべてが無意識で自動的。
  • 「感情・思考」に左右されると、「感覚」が判らなくなる。    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体の感覚は、誰にも譲り渡してはいけない。
 

"Die Sinne trügen nicht, aber das Urteil trügt"  Johann Wolfgang von Goethe (Maximen und Reflexionen     

感覚は欺かない。しかし、判断が欺くのだ。 (ゲーテ)

 

 

 

●情報の選択からして、すでに無意識が関与。

 

  • 現状は、「問題」なのではなく、「結果」。・・・そうなるのであって、そうするのではない。
  • 無意識は、言語活動よりも手前に存在。不立文字]

 

 

 

●「脳の変化が原因」と言うにしては、理由がつかない事象がある。

 

外部からの条件変化で、症状が変わることがある。(脳には何もしていない。)

 

  • 物理的(楽器の種類が変わったり、楽器との接地面の感触の変化)
  • 精神的(演奏状況の変化)

 



中枢は抹消の奴隷。(養老 孟司)

 

●脳の体性感覚野における指部分の境界線が不明瞭になる事について、下記の報告があります。

 

ジストニア症状があり、運動野の指の境界線が不明瞭になっている患者グループ以外に、下記があります。

 

  1. 健康でジストニア症状がないのに、境界線が不明瞭。
  2. ジストニア症状があるのに、境界線が明瞭。

 



 



 

重要事項  

 

●音楽家の脳機能は、ほんの少ししか解明されていない。

 

 

 

  1. 特定の症状に対する原因が、特定の部位だけの責任に課せられているかどうか未解明。
  2. 処置如何によっては、望まない新たな別問題が発生する事があり、それらを除く事が出来るかどうか不明。
  3. 様々な事象が、「原因」なのか「結果」なのか判っていない。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●人が認識・意識できる範囲は限られている。  

 


「身・心」の変化は、無意識の部分が半分以上。
 (身が先、心は後から。)

 

従って、意図的に「意識して奏法を直す」では、カバーしきれない。 

 

 

 

 

 

  1. 神経の修復速度は、1日1mm、又は、それ以下。
  2. 「原因除去」と「症状消滅」は同時ではない。
  3. 神経が修復し・筋肉が育ち・機能回復するには時間が必要

 

 

 

意識・言語」と「身体」の関係に留

 

 

 

 

 

●「体への手入れ」は、絶対に必要。(予防・症状改善の両方に有効)  

 

 

 

  1. 筋肉・腱・筋膜 それぞれの過緊張を緩め、自然な抗重力反応を整える。(専門家の徒手治療は必須。)
  2. 頭の中を空っぽにする時間を設ける。                                                           
  3. 冷え・血行不良改善。炎症がある場合を除いて、入浴や運動(例:水泳・ウオーキング)で暖める有酸素運動は少量でも連日が望ましい。 
  4. 目・顎を緊張させない。   
  5. 睡眠不足厳禁。(枕の高さにも、充分な注意は必要。)
  6. 食事内容 (食べ過ぎない・糖分の取りすぎを避ける) ・衣類 (締め付けすぎない・体を冷やさない) に配慮。 

 

 

 

 

 

「形態」の変化 = 「機能」の変化 ・・・これらの変化は、唐突・意図的には起こらない。

 

 

 

 

 

●「良いと感じるられる方向」に持って行く事を「少しずつ継続」。

 

 

 

  1. しぶとく取れにくい症状に対して、治療効果を損なう事は常時避ける。
  2. 一朝一夕に効果は出ないものの、訓練・治療は、適量を長期継続する事が必要です。
  3. 悪化し易く、良くなり難い疾患であり、やり過ぎは絶対禁物です。

 



自然に継続できるのは、気持ちの良いものだけ。




●「自然にそうなる事」と「意図的に行う事」は、全く別。

 

 

 

山川の末に流るる橡殻も 身を捨ててこそ 浮かむ瀬もあれ・・・空也上人     /     振り下ろす 太刀の下こそ 地獄なれ 身を捨ててこそ 浮かむ瀬もあれ・・・宮本武蔵

 


この状況に、プロもアマチュアも、関係なし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目次

 

  1. レッスン情報・サイト管理人略歴   
  2. フォーカルジストニア : 資料提供者の略歴 
  3. 講習会情報
  4. 学会情報 
  5. 治療期間の留意点・重要事項                    
  6. その他の留意点             
  7. 放映された番組
  8. ドイツ国内の音楽家専門医療機関(外来・入院) 
  9. 音楽家医学専門 研究・教育団体
  10. その他
  11. Video

 

 

 

当サイトの文献・資料すべては、原著者(著作権保持者)の許可を得て掲載されています。 

 

従って、当サイトの全文章に関する勝手な使用(無断転載・コピー・剽窃)は、一切、硬くお断りいたします。

 

 

 

 

 

1.レッスン情報 

 

あらかじめ「お願い」  

 

Mailのやり取り・レッスン内容の「受け取り方」や「体の反応」は、症状・体格・感受性・状況によって、「微妙」・「千差万別」です。

 

「身体感覚」・「音」は、その人だけに属するものであり、それらの「センス」を考慮しながら「1対1」で行われるレッスン内容は顔・反応を見ながらの「口承伝承」を基調としております。 

 

 

 

伝達手段としての「言葉の選択」は、極めて重要でありますが、それによって喚起・獲得される「感覚情報」は「自己体験」以外にはありえません。

 

 

 

サイト内の記事・レッスン内容の著作権は、当サイト管理人が持っております。それらの転用・コピーは、権利の侵害・法律違反であるばかりでなく、

 

「個人的な感想」と「部分的な引用」が混在する事により、結果的に誤まった情報が出る事は、避けたく思います。 

万一、たとえ善意からであったとしても、間に他人が入れば、何かが加わり、何かが削られ、内容の変化は避けられません。

 

 

 

「他人の言葉による間接的理解」と「皮膚感覚による直接的理解」は、同じではない事をご理解頂きたく、どうぞ、お願い申し上げます。

 

 

 

お申し込みのMailには、タイトルを入れ、御名前・簡単な略歴と症状をご記入ください。レッスンは、ご本人のみで、見学は受け付けておりません。

 

尚、ご依頼人の個人情報の守秘は、当然の事としております。気軽に対応出来る様な疾患ではありません。以上、どうぞ、ご理解くださいますよう、重ねてよろしくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

「玉は砕くべくも その白きを改むべからず」 関羽 三国志演義・・・この特別な状況から学べる「能力」や「音楽性」まで失った訳ではありません。

 

 

 

当サイト管理人の略歴

 

草間 律 

 

ピアニスト・ピアノ教師。ドイツ音楽家医学協会会員。武蔵野音大卒。ベルリン音大Kurt Singer - Institutにおける「音楽家生理学」終了。ジストニア・慢性疼痛などの演奏障害に対応した、解剖・脳神経生理に基ずく訓練方法を、Prof. Heide Goertz (ベルリン音大)、フェルデンクライスを、Hildegard Wind(ニュルンベルグ音大), 音楽家生理学とメンタルトレーニングについて、Prof. Kristin Guttenberg(ベルリン音大・理学療法士)に学んでいる。音楽家生理学の授業の企画・演奏回復レッスンを、南ドイツと東京で行っている。

 

 

 

 

 

2.フォーカルジストニア     

 

【ときどき天に向かって嘆きながら尋ねるんだ。「神様、なぜ、この私に こんな事をなさったのですか?」        R.シューマンより クララへ 1838年12月3日

 

 

 

音楽家の局所性運動失調、フォーカル ジストニアは音楽家にとってもっとも重篤・極めて難治性の神経疾患です。

 

現在の所、この疾患のすべてが解明されたと言うには程遠い状況にあり、改善はあっても、未だ決定的な治療方法はみつかっておりません。

 

ドイツ・Hannoverにある音楽家専門外来を訪れた患者は、過去14年間に6,700人以上にのぼります。(2009年10月) 

 

実際、発症している音楽家やその予備軍は相当数いると思われますが、疾患自体あまり知られていない事もあり、

 

正確な患者数は不明です。今後「音楽家のジストニア」と「ジストニアの予防方法」について、教育機会を設ける事は、

 

職場や学校での誤解・発症そのものを避けるために、必要不可欠・重要な音楽家医学の課題です。

 

 

 

かなり長期間に及ぶ治療、演奏テクニック・生活習慣の改善などを経て、演奏に復帰した音楽家もいない訳ではありませんが、

 

発症から復帰までは並大抵ではなく、キャリア・人生に大きな影響を及ぼす事は、避けられません。その為、再び舞台に立てるまでには、関係各部門からの様々な助けが必要です。

 

 

 

その一方、ジストニア治療の知識は、全ての音楽家の「健康」な演奏活動に必要な共通知識であり、ジストニアより演奏に復帰したごく少数の音楽家に共通する事は、発症以前よりも健康・健全な音楽生活に変わっていることです。

 

 

 

当ホームページでは、ドイツ・ベルギーにて実際のジストニア治療現場にいる医師・療法士(いずれも現地での健康保険適用可)、奏法の教師と直接会った上、医療ベースの情報のみを提供しております。

 

論文や資料提供を、快く承諾してくださった、Prof. Dr. Altenmueller 先生、 Prof.Dr.Jabusch 先生には、心より御礼申し上げます。

 

草間 律

 

 

 

 

 


〔資料提供者の略歴〕

 

Prof. Dr.Altenmüller, (詳細。http://www.immm.hmt-hannover.de/de/institut/personen/eckart-altenmueller

 

脳神経内科医。フルーティスト。Instituts fuer Musikphysiologie und Musiker-Medizin (IMMM) der Hochschule für Musik und Theater in Hannover・ハノーファー音大内の音楽家外来の主任教授。Deutsch Gesellschaft fuer Musikermedizin und Musikphysiologie e.V(ドイツ音楽家医学協会のプレジデント)IMMMの音楽家特別外来において、演奏障害の診察・治療・相談に応じている。音楽家のジストニアの病態生 理学・診断・治療は、IMMMのメインテーマである。

 

 

 

Prof.Dr.Jabusch (詳細。http://www.hfmdd.de/index.php?id=892) 

 

医者であり、ピアニスト。Systematischen Musikwissenschaftにおいて、教授資格を得ている。音楽家のジストニアの専門家として、IMMMにおけ るProf. Dr.Altenmüllerのアシスタントを長年勤める。2008年9月より、Dresden音大 Institut fuer Musiukermedizin の教授。 ドイツ・音楽家のジストニア患者の会の連絡先となっている。

 

 

 

Joseph Quoidbach (Posturologie Kinésithérapie Ostéop  athie  BelgiqueLiége

 

http://www.youtube.com/watch?v=bd6XXn8TNMg      (声楽・仏語) 

 

http://www.youtube.com/watch?annotation_id=annotation_788485&src_vid=k0cC_h3VRRc&v=05W3X_JgTbI&feature=iv    (Posturologie/Euterpe Software)     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.その他のキイワード 

 

細胞外マトリックス(ECM)、自己組織化、創発現象、同期・同調、サルトジェネシス

 

 

 

健康生成論 (alutogenesis・サルトジェネシス) アーロン・アントノフスキー(Aaron Antonovsky) 

 

健康でいられる為の3つの条件。→ この条件が備わった時に、新しい神経の芽が育つ。

 

1.    状況が理解できている。

 

2.    何をすべきか判っている。

 

3.    やっていることに意義を見出す事ができる

 

salus (ラテン語)・・健康 / genesis (ギリシャ語)・・発生

 

極限環境の中でも、良好に生き延びる人達がいるという事実から得られた理論。

 

(逆に言うと、不安のある時には、順調に伸びて行くことは、難しい。)

 

 

 

 

 

Fascia筋膜・全身を覆う連続した単一臓器)の障害」を取り除く。

 

筋膜の映像

 

https://www.youtube.com/watch?v=uzy8-wQzQMY

 

 

 

 

 

 

 

4.学会情報 

 

Charité - Universitätsmedizin Berlinの中に、「音楽家医学センター」が新設されました。

 

https://musikermedizin.charite.de/

 

 

 

5.発症時・治療期間の留意点・重要事項 

 

 

 

手指/口唇部の違和感・音がはずれる等は「初期症状」

 

  • 多くの場合は無痛で、炎症・怪我がありません。(痛みのある場合もあります)
  • 腱鞘炎・手根幹症候群・滑膜炎/顎関節症とは別の疾患です。
  • 構造障害・神経障害・その両者の混ざったものによって「不随意運動」が出る事があります。 

 

 

 

発症前後と経過  

 

  • ご本人の認識と実際の症状との間にズレがある場合が多い。
  • 人によって色々な様相があり、症状も経過も一様でない。 

 

 

 

発症時の典型的な状況例

 

  • 執拗に、同型反復の「繰り返し練習」ていた。
  • 絶対に間違えてはいけない・仲間や先生からの刺されるような異様な「ストレス・我慢」があった。
  • 打撲・挟む・切るなどの、「突然の衝撃による怪我」をした過去がある。

 

 

 

  • 10~20代、学生時代に発症する人/長年の演奏キャリアの後、60代で発症する人もいる。
  • 思い当たるストレスがある/ストレスがない、もしくは、本人にその認識がない。
  • 徐々に発症し、正確にはいつからなのか不明/ある日突然発症。

 

 

 

●発症後

 

  • 数ヶ月で元に戻る人/10~20年以上、症状を抱えている人もいる。
  • 初期症状のまま、症状が進行しない/症状が進行する。

 

 

 

●経過期間  

 

  • 「改善」したが、症状が「ゼロ」ではなく、不随意運動(補償運動・動きの引っかかり・こわばり・ひきつり)が、まだある。

 

 

 

不随意・補償運動が残っている・特定の音型が演奏できない場合は、治っておりませんので、引き続き「要注意」です。

 

 

 

 

 

●治療開始・継続の問題点 

 

  • 治療自体の「難しさ」
  • 治療関係者の「少なさ」
  • 治療継続の為の精神・肉体・経済的負担の「大きさ」

 

 

 

  • 症状があると判っていても、いきなり学業・仕事を休む訳には行かず、周囲の目も気になる。
  • 治療後、効目を維持するに望ましい環境を、仕事柄保ちにくい。 
  • 発症から時間経過が長ければ、治癒にも時間が掛かる。

 

 

 

治療期間中に、余計な事をしてはいけない。

 

 

 

●治療・再訓練方法選択の留意点   

 

 

 

  • 治療士や教師と依頼人との相性・信頼関係は、治療・レッスン効果に絶大な影響を与える。
  • 同名の治療方法でも、治療技術の差が大きくある。
  • 同じ治療・レッスンを受けても、効果に個人差がある。

 

 

 

 症状の「ある・なし」に拘らず、「衣食住」全てを含む「体調管理」は基本的な重要事項です。

 

 

 

 

 

 

 

●その他

 

  • 今でも演奏場所によって、全く普通に演奏できたり、できなかったりする(あがる・あがらないとは無関係)
  • 本人は症状を刺激していないつもりでも、実は刺激している場合が多くある。 
  • 予防と治療は別です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6.その他の留意点

 

音楽家のジストニアは「複雑系」 原因と結果が、1対1ではない。

 

問題の集合体に対応する為には、異なった幅広い分野の専門家達のネットワークで行われる、学際的共同作業が理想です。 

 

 

 

キイワード: Netzwerk: Komplexes System: Interdisziplinär

 

 

 

 

 

●早く対応しなければいけない現実問題 「収入」と「メンタル」  

 

  • 音楽家のジストニアは、学業の継続・演奏家として収入などの金銭問題に即座に結びつきます。(経済問題)
  • それまで音楽をする事によって得られていた希望・満足感と現実との間に「深く大きな心の葛藤」を生じます。(心理問題)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

構造障害の極初期であれば、丁寧なストレッチで改善する場合もありますが、適切・慎重である必要があります。

 

 

 

 

 

筋肉の緊張は「全ての動きに必要」ですが、過緊張は「作為的に安定させた時」に生じます。

 

 

 

 

 

1)症状や治療経過は、その人だけのTrue Story

 

  •  全体におおまかな「傾向」はあるものの、細部まで「同じ」ではありません。       
  • 症状には個人差があるので、他の人との比較に、あまり深い意味は期待できません。
  • 教師には、練習不足ではなく「疾患である事」をきちんと説明する必要があります。(誤解されて関係がこじれる事があります)

 

 

 

2)罹患者ほぼ全員が陥る典型的な「勘違い」

 

  • 「初期症状」は「練習不足」ではない。(何とかしようと、いつもより、あせって、さらに猛練習してはいけない!!
  • 渾身の力を込めてコントロールしようとしてはいけない。
  • 症状の出るライン「閾値」を刺激しては、絶対にいけない!!

 

 

 

3)症状が自然に消えることは「まれ」です。多くの場合「刺激すれば進行」

 

    自己練習初期に気をつけること。目(つぶる、半眼にする等)・あご関節(耳の前)の力を抜いて練習する。

 

  • 動き方の内側を味わい・感じる。
  • 閾値を刺激せずにゆったり・のびやかに行う。
  • 動かない事に対して批判的な気持ちを持たないように、心を一歩離して置くようにする。

 

 

 

4)逆効果になる練習上の「盲点」

 

  • 凝視したり、歯を食いしばると全身の緊張が高まって逆効果。
  • 没頭しすぎたり、長時間やりすぎない。
  • イライラしたり、がんばったり、頭に血が上っている時は楽器から離れる。(続行すると症状が進行します)

 

 

 

5)100%悪化の「3Rの法則」 加えてストレス状況下であれば、確実に悪化します。(Prof. Dr. Altenmüller

 

  • 同型反復 Repeat !
  • 速く動かす事だけに躍起になる(例・指先だけに極端な関心) Rapid !
  • 以上を儀式のごとく、習慣的に繰り返している Ritual !

 

「出来ないところを」「繰り返して」「一生懸命さらう」という当たり前の習慣が「裏目」にでます。

 

 

 

6)気分的に追い詰められた時に、とにかく一時的にやり過ごす緊急方法例。 (治療ではありません)

 

  • 床に寝転ぶ(体の重さを床に全部預ける・手の平は天井に向ける・足は肩幅に軽く開く)
  • 20分間、何もしない、何も考えない。
  • 目をつぶり、耳・アゴ周辺の力を抜いて、ゆっくり呼吸だけする。 

 

 

 

 7)症状の平均は、「多数の患者」のものではあるが、「誰か」のものではない。  

 

  • 典型的な点を更に細かく分類すると多様化する。 
  • 他人の症状への過大な興味・好奇心は時として負のスパイラスを引き起こす。
  • 症状の変化は、勝ち負けではない。

 

 

 

8)その他

 

  • ジストニアによる筋肉の過緊張と演奏に必要な筋肉のテンションとは全く「質」が異なっています
  • 症状が行きつ戻りつするのは、よくあることです。
  • 治療と訓練効果が安定・持続するまでには、通常多年を要します。                

 

 

 

ご自分でなさる場合には自己責任で行って下さい。

 

 

 

以上の重要事項の内容は、一部↓の番組の中で述べられています。

 

                                                   

 

7.放映された番組

 

Leon FleisherProf.Dr.Altenmüller, Prof.Dr.Jabusch が、フォーカルジストニアについて語っている番組です。    

 

http://www.3sat.de/mediathek/mediathek.php?obj=8925    (3Sat、2008年7月11日放送。)

 

スペイン国営放送の番組。中ごろで、Hannover音大音楽家外来における、音階の不均衡具合測定の様子があります。

 

http://www.youtube.com/watch?v=0WaKsJkqUmU

 

 

 

 

 

 

 

8ドイツ・ベルギーの音楽家専門外来・音楽家医学関連機関

 

専門分野・受診条件が異なっており、ジストニア専門だけではありませんので、予め御確認ください。いずれも予約要。

 

(ドイツ国内での医療機関予約の取り方・症状についての言い回し方などについてご質問があれば、ご一報ください)

 

音大内のInstitut

 

●Hannover音大・音楽家外来 (英語・独語・仏語) 

 

(ジストニア全般・すべての音楽家疾患対象・予防法)

 

Institut für Musikphysiologie und Musiker-Medizin der Hochschule für Musik und Theater in Hannover

 

所長: Univ. Prof. Dr. med. Eckart Altenmüller

 

http://www.immm.hmt-hannover.de/

 

 

 

  • ドイツ国外からの場合、自由診療で、約100Euro掛かります。
  • ドイツ国内の場合は、家庭医より脳神経科へのÜberweisungが必要です。

 

Institut für Musikphysiologie und Musiker-Medizin
Hochschule für Musik, Theater und Medien Hannover
Schiffgraben 48
30175 Hannover
Tel.: +49 511 3100 552
Fax: +49 511 3100 557

 

 

 

●Dresden音大・音楽家外来 (英語・独語)  

 

(ジストニア全般・管楽器の頭部・頸部対象・すべての音楽家疾患対象・予防法)

 

Institut für Physioprophylaxe, Carl Maria von Weber in Dresden        

 

 所長 PD Dr. med. Dipl. Mus. Hans-Christian Jabusch

 

http://www.hfmdd.de/index.php?id=789

 

 

 

●Freiburg音大 音楽家外来 (英語・独語・仏語)

 

(すべての音楽家疾患対象、声楽・器楽家対象・音楽家対象の心療内科・カウンセリング、声楽家のあがり症に重点・予防法)

 

Freiburger Institut für Musikermedizin               

 

 所長: Prof. Dr. med. Claudia Spahn

 

http://fim.mh-freiburg.de/

 

  • ドイツ国内の場合は、家庭医よりMusiker Medizinへの、声の疾患場合は耳鼻咽喉科へのÜberweisungが必要です。
  • 自由診療・ドイツ健康保険のいずれであっても、診療値段は内容によりますので、あらかじめお問い合わせ下さい。

 

 

 

 

 

●Berlin音大内  Kurt-Singer Institut (英語・独語)

 

(オーケストラ団員間・音大内職員間など職場のいじめによる演奏障害、対教師や親子間の軋轢による音大生の演奏障害、舞台でのあがり症など、音楽家対象専門の精神科医による心理分析・心療内科・カウンセリング)

 

Kurt Singer - Institut für Musikergesundheit Berlin                    

 

http://www.ksi-berlin.de/    

 

  •  無料

 

 

 

●Koeln音大内 Peter Ostwald-Institut für Musikermedizin    (精神科) (英語・独語)     

 

  所長 Prof. Dr. Peer Abilgaard

 

http://www.hfmt-koeln.de/de/hochschule/institute-und-zentren/peter-ostwald-institut.html

 

 

 

ベルギー  BelgiqueNamur /  LIMEP : Institut Supérieur de Musique et de Pédagogie de Namur           

 

Approche posturale du musicien     音楽家の為の姿勢学

 

http://www.imep.be/fr/projet-pedagogique-et-artistique-de-limep#

 

http://www.youtube.com/watch?v=bd6XXn8TNMg      (Chant)

 

http://www.youtube.com/watch?annotation_id=annotation_788485&src_vid=k0cC_h3VRRc&v=05W3X_JgTbI&feature=iv    (Posturologie/Euterpe Software)     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【病院】

 

●音楽家対象の精神科のある病院  (入院可能)    (英語・独語)    

 

Katholisches Klinikum Duisburg

 

Psychiatrisches Klinikum im Marien-Hospital    担当医: Prof. Dr. Peer Abilgaard

 

http://www.katholisches-klinikum.de/kliniken-institute/psychiatrische-klinik-tagesklinik/marien-hospital.html

 

 

 

●音楽家対象の心療内科のある病院   (入院可能)   (英語・独語)     

 

Psychosomatische Klinik/Bad Neustadt (Rhön Klinikum)

 

Psychosomatische Klinik Bad Neustadt   担当医: Dr. med. R. J. Knickenberg

 

http://www.rhoen-klinikum-ag.com/rka/cms/psk_2/deu/index.html

 

 

 

 

 

●音楽家の慢性疼痛 (外来)  (英語・独語)       

 

Sana Kliniken Sommerfeld         担当医: Dr. med. Dipl. Mus. Anke Steinmetz

 

http://www.sana-hu.de/unser-leistungsspektrum/musikermedizin.html

 

 

 

 

 

 

 

9音楽家医学専門 研究・教育団体

 

●ドイツ音楽家医学協会

 

Deutsch Gesellschaft für Musikermedizin und Musikphysiologie e.V.

 

http://www.dgfmm.org/

 

●クルト・ジンガー・インスティテュート ベルリン(ベルリン音大UdK内にあります)

 

Kurt Singer - Institut für Musikergesundheit Berlin

 

プロの音楽家対象の音楽家生理学の授業 (ジストニアに関しての一般知識の授業が含まれてます)

 

http://www.ksi-berlin.de/

 

 

 

●ドイツ・音楽家のジストニア患者の会 

 

http://www.dystonie.de/selbsthilfegruppen/musiker.html

 

 

 

10音楽家生理学関係

 

Hildegard Wind (Bamberg Symphoniker コンサートマスター・フェルデンクライス)

 

http://www.musikerfeldenkrais.de/fokale-dystonie.htm

 

Prof. Kristin Guttenberg (ベルリン音楽大学・理学療法士・ヨガ)

 

http://www.kristin-guttenberg.de/aktuell_de_Terminvereinbarung.html

 

Andreas Burzik Violinist, 心理学修士・Flowにおける楽器演奏

 

http://www.ueben-im-flow.de/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

治療・研究についての評価は様々です。 御判断は自己責任でお願い致します。

 

 

 

 

 

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