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上智大・古屋先生の新しい治療法 tDCS

2014年04月24日
先日からSNSで多くの方がシェアしていますのでご存知の方も多いと思いますが、今春から上智大学の准教授になられた古屋晋一先生の研究が注目されています。

(以下、上智大学のホームページからの引用です)

上智大学理工学部情報理工学科の古屋晋一准教授は、ゲッティンゲン大学のNitsche教授、Paulus教授,ハノーファー音楽演劇大学のAltenmüller教授らと共同で、非侵襲に脳を電気刺激する手法を用いて、音楽家の局所性ジストニアの運動機能低下を改善する新しい手法の開発に世界で初めて成功しました。この成果は、脳神経内科分野において世界最高峰のアメリカの学術雑誌Annals of Neurology (アナルズオブニューロロジー誌、インパクトファクター 11.2)に、2014年4月7日付でオンライン版にて先行公開されました。

古屋准教授らは、非侵襲で頭皮上から脳を電気刺激する経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)という技術を用いて、ピアニストのジストニアの症状を改善することに世界で初めて成功しました。

本研究で得られた成果は、局所性ジストニアの画期的な治療法の開発の基盤となるだけではなく、脳科学、リハビリテーション科学、生体医工学、スポーツ科学など幅広い分野への波及効果が期待できます。

(引用ここまで)
原文http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/news/2014/4/globalnews_1078/20140416press?kind=0&target=press

昨年ハノーファーで開催されたジストニア学会での古屋先生の発表によると、頭の表面から微弱電流を流すことによって、症状の出ていない手の運動プログラムを、症状の出ている側に「コピー&ペースト」するということのようです。

アンブシュアのジストニアへの応用は現段階では難しいとのことですが、指のジストニアの人にとっては非侵襲(体を傷つけない)、つまり低リスクですから、試してみる価値が十分にあると思います。

私は、さらに並行して演奏テクニックの再教育という意味でのアレクサンダー・テクニーク、フェルデンクライスなど「動き」についての学習が重要であると考えています。

トロンボーンのウォームアップ

2014年04月21日
レッスンにいらっしゃる生徒さんで、トロンボーンの低音域の悩みというのは比較的多いようです。

初めての生徒さんにはだいたい「どんな音出し(ウォームアップ)をしていますか?」と質問するのですが、多くの人が真ん中のFから始める、なかには下のB♭からという方もいらっしゃいます。

「何故その音からなのですか?」と聞くと、昔からなんとなく、か、この辺りの音域がうまくいかないと吹けないから、という答えが多いです。
下のB♭の倍音列が安定して演奏できない方が毎回の練習をまさにそのB♭から始めていた、ということもありました。

「低い音がしっかり吹けなければ正しい奏法ではない」というような言葉がありますが、その影響もあるのでしょうか。

私自身も低い音が出にくくなった時、逆に高い音は少し楽になった位だったのですが、「これは正しくない」と思っていましたし、ジストニアの事を良くわかっていない指導者には「初心者用の教則本をやりなさい」と指示され、まさにその「初心者の音域」が出なくて精神的にもきつかったし、無理に出にくい音域を練習して悪化させた苦い思い出があります。

私自身が今実践していて、レッスンにいらっしゃる生徒さんにも大体お勧めしているのが、少し高めの音から始める、という方法です。
チューニングのB♭あたりからです。唇を軽く閉じ、息をポーンと入れればB♭の音が出る人が多いはずです。ぜひ実験してみてください。

ジストニアかも?という方の練習方法の提案

2014年04月18日
私のホームページも3年目に入り、累計2万人以上の方に訪問していただいています。本拠を日本に移した今、不調に悩む音楽家の役に立てるよう以前にも増して努力していきたいと考えております。

読者の方から、質問のメールを頂くことがあるのですが、その中に多くあるのが、「原因不明の不調に見舞われ、練習しているけれど良くならない、どうしたらいいのでしょうか?」という質問です。

今まで個別にしてきた返信や、その中から実際に来てくださった方のレッスンなどを通してわかってきた、効果的だったアドバイスを紹介します。

練習が「苦手なこと」に偏っていませんか?
出しにくい音域、演奏しにくい部分などを気にするあまり、できないことばかりを練習してしまっていないでしょうか?

フォーカル・ジストニアの場合、無理にコントロールしようとし過ぎると、神経系がいっそう混乱してしまいます。

できないことをやり続けるのは精神的にも良くありませんので、練習メニューを見直して、むしろできることだけを練習してみる、というくらいの気持ちで臨んでみてください。


コントロールしようとし過ぎていませんか?
演奏時に出てくる不調を、なんとかコントロールしようとしていませんか?

いい演奏をしたいという気持ちは当たり前だから、そう思うのは当然のことなのですが、試しに一度、その「コントロールしなければいけない」という考えを捨てて、なるように任せてみてください。放っておいたらどんな酷い演奏になるのか確かめてやろう、というくらいの気持ちで演奏してみてください。

意外とうまくいって驚くはずです。つまりは「コントロールしよう」と思ってしていることが、結果的に自分自身の邪魔をしてしまっているのです。
(ここまで読んだ上で、「欲を出して」試してみた場合、どのような結果が出るかはわかりませんが…笑)

不調の原因というのはたいてい「うまくやろう」というプロセスの中にバグがある状態です。ですから、「うまくやろう」と思わないとバグも実行されないのです。
レッスンでよくあるのが、一度「諦めて」上手くいった生徒さんが、「よし!次はもっと良く」と思った結果、「うまくやろう」プロセス(=バグ入り)が実行されて上手くいかない、という現象です。

似たような例としては、スポーツで、試合中盤で勝つことを諦めた途端に調子がよくなり、これはいけるかも!と思った途端にまた調子が悪くなる、というようなものが挙げられます。
(こうした例についてはティモシー・ガルウェイ著・インナーゲームという本がおすすめです)

我々アレクサンダー・テクニーク教師は、生徒さんが自分ひとりで新しいプロセスを実行できるようになるための手助けをします。


というわけで

お勧めの練習法
できることを演奏してみる。どんな風に演奏したいか?をイメージし、とにかく音楽として演奏する。(音階やアルペジオも立派な音楽です!)
実際に演奏してみたら、出た音は過去のもの、もう変えることはできません。さっきの音の批評をしている暇があったら次はどうやって演奏するか考えてみましょう。


以上、あくまでも私の経験に基づいたアドバイスですが、調子が悪くなると必死になってしまうのは仕方のないことです。しかし、その時にどのような行動をとるかでその後は大きく変わってきます。「次の行動の選択肢は自分が持っている」ことを忘れないでください。

演奏の不調は、思い悩めば悩むほど深刻に感じられてきますので、ぜひ専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
アレクサンダー・テクニーク、フェルデンクライス、ディスポキネーシスをはじめとする様々な専門家が音楽家をサポートしています。

来月には私もセミナーを開催します。

ついに決定!1日セミナーin吉祥寺

2014年04月11日
ジストニア・不調に悩む音楽家のための1日セミナー in吉祥寺

ジストニアをはじめとするアンブシュアや指の不調に悩む音楽家のために1日セミナーを開催します!
遠方からの方、普段時間がない方のために、まとまった時間を使って系統立てた理論と実際のレッスンを体感していただき、今後の役に立てていこうという趣旨です。
フォーカル・ジストニアの原因、概要や診断・治療の現状についてや、なぜアレクサンダー・テクニークによる改善が期待されるのか、などの理論を、参加者からのヒアリング、質疑応答、意見交換を交えながら、グループレッスン形式で行います。(レッスンは希望者全員に行います)

対象: 演奏時のフォーカル・ジストニア(痙攣性発声障害を含む)、アンブシュアや指の不調でお困りの方
   (診断の有無やプロアマは問いません)

日時 5月4日(日)10:00~17:30(90分の昼休憩を含みます。終了後、30分程度の懇親会を
   予定しています)
会場 アレクサンダーテクニーク教室FUN!(JR/京王 吉祥寺駅3分)
定員 10名(希望者全員に十分な個人セッションをします)

参加費   20000円
割引参加費 17000円
割引対象:遠隔地(往復交通費15000円以上)の方、FUN!会員

服装・持ち物:演奏する楽器をお持ちください。今回の会場にピアノはありません。服装は普段通りで結構
       です。

写真撮影・録画・録音は他の参加者のプライバシーの問題もありますので、可否は当日セミナーの始めに決定いたします。レッスン内でご自分のセッションを録画・録音することは構いません。
プライバシー保護のため、匿名で参加していただくことも可能です。お申し込み時には本名を頂き、当日匿名で参加する旨お伝えください。

*お申し込みは下記予約システム、もしくはメールに氏名、住所、電話番号を記載してお申し込みください。
*参加費は当日ご持参ください。

予約ページ  http://alexander-fun.com/?page_id=51

だいぶ良くなったんだけど…

2014年04月11日
完全帰国から1カ月、今日から数日間、久々に演奏の仕事をしています。

アレクサンダー・テクニークを始めてから状態が少しずつ良くなっていく過程で、何度か演奏の話を頂き、そのたびに引き受けるか本当に、本当に悩みました。

今の自分がどの程度吹けるのか、現場で使い物になるのか、共演者、聴衆はどう思うだろうか、そもそも紹介してくれた人、仕事を依頼してきた人のメンツを潰すわけにはいかない…なによりも、うまく演奏できない自分が嫌になり、いよいよ再起不能になるかも…と悩みは尽きなかったのです。

そんなあるとき、世界的に有名なトロンボーン奏者であるイアン・バウスフィールド氏が協奏曲を演奏するのを聴く機会がありました。彼とは2003年に音楽祭で一緒に吹いたことがあるのですが、その日の演奏はかつて聴いた時を遥かにしのぐ素晴らしいものでした。

終演後、彼のもとに駆け付け、素晴らしい演奏だった!!と伝えた私に、彼が言った一言は

「だいぶよくなった」

でした。

その時気付いたのが、ロンドン交響楽団からウィーン・フィルへ移籍という華々しいキャリアを持つ彼でも、「もっとうまくなりたい」という気持ちを持っていて、ある意味では自分の演奏に不満を持っている、その反面、自分の「できること・できたこと」も正当に評価している、ということ。

私も今日のリハーサルでは「だいぶ良くなったんだけど」と思ってみました。もちろん、プロの演奏家として活動していく上では全然足りないのですが、それでもだいぶ良くなった。そう思うと、今まで自分が積み上げてきた過程を認め、こうやっていけばこれからも良くなっていくな、という確信、というのか、今ここでできることをすればいい、という安心感が生まれ、結果的に集中できた気がします。

なにより、音楽を演奏できる喜びを感じることができたのが嬉しかったです。

すこしでも良い演奏ができるように、引き続き頑張ります。

(急告:5月4日(日)にフォーカル・ジストニアやアンブシュア・指のトラブルに悩む音楽家のための1日セミナーを企画しています。今週中には詳細を発表できると思います)

アレクサンダー・テクニークはジストニア改善に有効か?

2014年04月08日
昨日は管楽器界にアレクサンダーテクニークを広める先駆者、バジル・クリッツァーさんに会ってきました。

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バジルさんとは数年前から音楽家のフォーカル・ジストニアへのレッスンについて情報交換は行っていましたが、昨日はかなり具体的な話を出来ました。

医学界で求められていることは、Evidence-Basedつまり臨床結果・根拠に基づいたアプローチです。アレクサンダー・テクニークのフォーカル・ジストニアへの有効性は多くの文献が示唆していますが、今一つ決定打に欠けるものがあり、フォーカル・ジストニアの改善・予防アプローチのファーストチョイスとされうるにはほど遠い状況です。

たとえば、スペインのRosset-Llobetらの論文集 "Musician's Dystonia"(邦題「どうして弾けなくなるの?」音楽之友社)には、治療法の選択肢としてボツリヌス毒素注射、理学療法、内服薬治療、外科的手術などとともにアレクサンダー・テクニークも入っています。

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私個人の意見としては、この本はあくまでもスペインの一つの学術グループが出している論文集であり、ドイツの研究グループなどはまた違った視点で研究しているようです。もちろん音楽家のジストニアを初めて詳細に扱った本として、また日本語で読めるジストニア本としての意義は大きいのですが、このデータだけで「アレクサンダー・テクニークでジストニアが改善する確率は4分の1」とは判断されたくないな、と思ってしまいます。


私はジストニア学会や専門医との会話の中で、このEvidence-Basedのことで多くの悔しい経験をしてきました。自分自身の経験、感覚から、「絶対にアレクサンダーでよくなる!」という確信がありながら、医学的な証拠がないことを理由に相手にされないわけです。下手をすればペテン師扱いです。

なんとか医学的データとしてアレクサンダー・テクニークの効果を証明したい!

そんな話をバジルさんとしていたら、彼が一言「だったら、僕らで治しまくりましょう。そうすれば医学界のほうから調べに来てくれますよ」

なるほど。確かに。というわけで、騙されたと思って(笑)いちど私のところに来てみてください。

毎週木曜日・吉祥寺アレクサンダーテクニーク教室FUN!では3200円~レッスンをしています。

個人レッスンは随時受け付けています。まずはご相談ください。

帰国しました&レッスン始まりました

2014年04月05日
3月13日に、10年間を過ごしたドイツを離れて日本に戻ってきました。

渡独当初の夢である「オペラ劇場のトロンボーン奏者」とは違った形になりましたが、良い縁に恵まれてこうしてアレクサンダーテクニーク教師、ときどきトロンボーン奏者として活動できることは幸運なことだと思っています。

4月に入り、徐々にレッスン活動も始めました。
早速5月の連休にはフォーカル・ジストニアの音楽家のための1日セミナーを開催する予定です!

より自由に演奏できる人が増えるように、演奏の不調から復帰できる人が増えるように努力していきたいと思います。