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フォーカル・ジストニアの改善に効果が期待できること

2012年05月29日
いずれはホームページのコンテンツとして公開したい内容ですが、万全を期すべくまだまだ時間がかかりそうですので、一部をブログで紹介します。

フォーカル・ジストニアを発症した音楽家は、演奏の微妙なコントロールが効かなくなる発症初期に、症状をテクニックの衰え、練習不足と勘違いして、練習量を増してしまうことが多々あるようです。このことは結果的には症状を悪化させてしまいます。
また、ジムに通ったりして筋肉を鍛える方もいらっしゃるようですが、問題は筋肉の「使い方」ですので、「強さ」は関係ありません。場合によっては症状悪化の原因にもなりますので、お勧めできません。


ストレスの軽減
Jaume Rosset i Llobet, Silvia Fabregas i Molas両氏は著書Musician's Dystonia(邦題充分に睡眠をとる
楽観的でいる
勤勉になりすぎない
楽しめることを見つける
自然と触れ合う
よく歩く
悲しいとき、つらいときは我慢せずに泣く

といったことです。フォーカル・ジストニアを発症した音楽家は、突然演奏技術を奪われ、多くの場合周囲の人びとからも理解を得られず、不安と絶望の中で孤独です。そんな時でも、希望を失わずにいること、時には人生を別の角度から見てみることも大切なことだと思います。


自分の身体を知る
フェルデンクライス・メソッド、アレクサンダー・テクニークなどによって、自分の身体がどのように機能しているか、またどのように機能するように作られているのかを知ることが、フォーカル・ジストニアの症状の有無にかかわらず、音楽家の演奏技術向上には役立つことは確実です。
簡単な解剖学的知識を身につけてみるのもいいことだと思います。アレクサンダー・テクニークから派生した「ボディ・マッピング」は、身体のつくりを実際の動きを通して学べる画期的なメソッドです。

習慣から解き放たれる
演奏時に起こるフォーカル・ジストニアは、「楽器を演奏する」という刺激に対して起こる「自動的な反応」が強化されすぎてしまった状態と言えます。そのため、いくら同じ方法で練習(刺激ー反応)を繰り返しても、よくなるどころか、さらに強化されて(つまりは悪化して)しまいます。必要なのは刺激に対する自動的な反応をやめて、自分で反応のしかたを選択するということではないでしょうか?
この刺激に対する自動的な反応を抑えることを学べるメソッドがアレクサンダー・テクニークなのです。






私自身は金管楽器のアンブシュア(口唇)ジストニアで、ボツリヌス毒素や手術は効果が期待できず、診断から2年ほどいろいろと試してみました。その経験から、独断と偏見でおすすめさせていただくのは・・

充分な睡眠
コストもリスクもゼロの素晴らしい手段です。神経には睡眠が一番の薬だと言う先生もいらっしゃいます。

歩く
これもコストもかからず、精神的にも前向きになれるいい方法です。ジストニア患者に処方されることの多い抗コリン剤の服用により、うつ症状が出ることがありますが、午前中に太陽の光を浴びて歩くことはうつ病の改善に効果があるとのことです。

アルコール摂取を少し控える
アルコールは、脳の運動制御に影響を与えます。とはいえ絶対禁酒、などと厳しく決めずに飲みたいときは飲んでみたらいいと思います。ただ、(ドイツでよく見られるのですが)演奏前に緊張を和らげるために飲むようなことはフォーカル・ジストニアの有無にかかわらず避けられるべきだと考えます。

フェルデンクライス・メソッド
繊細な動きを通して、脳と身体のコミュニケーションを増加させます。「運動感覚学習」と呼ばれるこのプロセスにより、身体の機能を活性化させ、向上させます。
ATMというレッスン形態は、大人数でのグループレッスンなので、安価に受けられます。本やCDを使っても手軽にできると思います。参考・フェルデンクライスの脳と身体のエクササイズ



アレクサンダー・テクニーク
はじめてレッスンを受けた瞬間から「これだ!」と感じ、間もなく(2013年)3年半にわたる教師養成課程を修了します。
自分の習慣に気づき、人間本来が持っている力を引き出すためのメソッドです。習慣的な自分の使い方(=身体感覚も含む)に気づくためには、自分に合った先生のレッスンを受けることが一番の近道だと思います。
演奏のみならず、生き方自体に変化をもたらすワークです。



一口にフォーカル・ジストニアと言っても様々な症例がある中、上記は必ず改善の助けになるはずです。
他にも何か情報をお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひ問い合わせページからお知らせいただければ幸いです。
また、ここには載せられなかった療法、療法士などの詳しい内容についてのお問い合わせも受け付けています。

フォーカル・ジストニアのリスクファクター

2012年05月28日
今日はフォーカル・ジストニアを引き起こす可能性のある因子について書いてみたいと思います。


疫学的な研究というのは発症原因の究明、リスクグループへの予防強化などには役立つかもしれませんが、実際に発症してしまってからはそれほど意味のない情報だと私は考えています。また、後述しますが、調査の母集団があまりに小さすぎて、それほど有意性のないものと考えざるを得ない現実もあります。

とりあえず、現在考えられているリスクファクターについてお話します。


音楽家のフォーカル・ジストニア発症率は1%程とされ、他のジストニアに比べて顕著に発症率が高いです。(たとえば、書痙は3000人に1人の発症率)
これに関しては、他の作業に比べて楽器演奏がかなりの精緻コントーロールを要するために、医者にかかる必要に迫られる人が多いためであろうと推測できます。




音楽家のジストニア発症のリスクファクター
Altenmüller,Jabuschらによる144人の患者からの疫学的データ

クラシック演奏家(95%)
数ある音楽ジャンルの中でも、楽譜通りに演奏しなければいけないという制約があるクラシック音楽の演奏家が多く受診しているようです。制約の少ないジャズなどの演奏家は、症状の出る音域、音型を避けて演奏活動を続けている例もあるようですが、オーケストラ奏者などはその辺の融通はききませんから、納得のいく数字です。
ただし、調査が行われたのがドイツの音楽大学に付属する研究所なので、クラシック演奏家が多いという事情も考慮しなければなりません。実際、スペインではフラメンコギタリストに多くの症例が報告されています。


男性(81%)
性別に関してはこちらとしても手の打ちようがありません・・(苦笑)


40歳未満で発症(80%)


不安傾向・完璧主義(70%)
このデータに私は大きな疑問を持っています。すでにフォーカル・ジストニアを発症した後の音楽家に心理テストをすれば、不安傾向の診断が出るのは当然のことと考えるからです。
たとえば、音楽大学入学者全員を対象に調査を行い、追跡調査によって後に発症した人とそうでない人の比較を行えたらいいと思うのですが。


遺伝的要因(36%)
これに関しては、本人の申告だけに基づいているため、もっと高率である可能性が大きいようです。
この調査を行ったAltenmüller教授から直接聞いた話ですが、自分の親類に運動障害を持った人はいない、と言っていた患者の母親が実は書痙だったケースがあるそうです。
この母親本人も自身が書痙と知らずに、ただの「字が下手・不器用」と思って、自然に字を書いたりすることを避けるような生活を送っていたそうです。
現在、発症した演奏家の血液を採取して、遺伝的要因を調べる研究が行われています。


慢性的な使いすぎ症候群・筋筋膜性疼痛症候群・神経障害性疼痛・筋肉の外傷
これらも、フォーカル・ジストニアの発症にかかわっている可能性があると考えられています。
アレクサンダー・テクニークの考え方からすれば、習慣的な体の使い方からあらゆる障害が発生するわけで、フォーカル・ジストニアにかかわらず、これらの生涯の予防・改善は必須です。


上記のリスクファクターの中で、我々がコントロールできるもの(心理傾向・演奏スタイルなど)、できないもの(遺伝・性別など)があり、少なくともコントロールできる部分について、アレクサンダー・テクニークの有用性を常に実感しています。これについてはまた詳しく書いていきたいと思っています。

Margaret Leng Tan

2012年05月26日
今日は、近所の美術館でMargarete Leng Tanさんの演奏を聴いてきました。
彼女はトイピアノ(つまりおもちゃのピアノ)の女王、とも称され、またジョン・ケージとも親交が深かったピアニストです。

舞台上にはピアノ、おもちゃのピアノや笛、ラッパなどが雑然と置かれ、曲間には彼女自身が解説(というよりちょっとしたおしゃべり)で間をつなぎながら御自身でセッティングしたりと、気さくな感じのコンサートでした。

なによりも、Margarete Leng Tanさんの、音楽に対するひたむきな愛情、演奏する喜びを無邪気ともいえるその表情に出し切ってステージに立つ姿に感銘を受けました。

家具ではなく、子供を教育しなければならない

2012年05月21日
私たちが教育しなければならないのは、家具ではなく子供たちである。
F.M.アレクサンダー 「人類最高の遺産」より

子供にトロンボーンという大きな楽器を教えていると、度々「楽器のサイズ」論議に出くわします。小さめのサイズの楽器を子供用に開発しているメーカーもあるぐらいです。
音楽家の世界でも、「○○(楽器の名前)は人間の身体に比べて大きすぎる」「人間の身体は○○を演奏するためにはできていない」といった意見をよく耳にします。

賛否はありますが、私の意見はアレクサンダーと同じです。極端な例を除いて、現代に引き継がれている楽器のデザインというのはある程度「扱いやすさ」が考慮されたものであるはずですし、我々人間は生物界ナンバーワンの道具を扱うことに長けたデザインを持っていると思うからです。

私の経験では、一番の鍵は、「この楽器は私がコントロールするにはあまりに大きい」という生徒自身のアイデアからくる、不必要なアクションを抑えることです。心理学には「確証バイアス」という言葉があり、自分自身で「この楽器は自分には大きすぎる」と一回決めると、以後それを裏付ける情報ばかり探してしまう、それどころか自分の仮説を「証明」するためにわざと演奏しにくい方法を無意識に選んでしまうことさえあるようです。

アレクサンダー・テクニークのようなメソードを活用することにより、かなり小さい子供でも無理のない奏法を身につけることができるはずです。

ミニ・ワークショップ

2012年05月09日
6月に、現在通っているドイツ・デュッセルドルフのアレクサンダー・テクニーク教師養成課程で行われる催し物のプログラムの中で、日本人向けのアレクサンダー・テクニーク体験ワークショップを開催させてもらえることになりそうです!

詳細決定次第、告知させていただきます。

どのようにアレクサンダー・テクニークを紹介していくか、内容を今考えています。併せてホームページのコンテンツも充実させていきたいところです。

今後ともよろしくお願いいたします。

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