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レッスンでよく出会う言葉「何も考えない」と「力を抜く」について その1

アレクサンダー・テクニーク教師・演奏改善コーチの佐藤拓です。

私はレッスン中に、生徒さんが上手くできた時に「今、どうして上手くいきましたか?」と毎回、しつこく聞きます。理由は、レッスン中、つまり私がいるときだけでなく、生徒さんが自分の力で上手くいく方法をしっかり見つけて帰ってもらいたいからなのですが、そこでよく返ってくる答えが「何も考えずにやったらうまくいったので…」と「力を抜けたので…」というものです。

音楽に限らない教育の現場や、日常の会話でも、「考えすぎないで」とか「力を抜いて」というアドバイスが満ち溢れていますから、上手くいった原因が「何も考えない」や「脱力」にあると思い込みやすいのですが、果たしてそれがこの先もずっと、重要な局面で助けてくれる建設的なプランなのでしょうか?

大切な本番、難しい箇所に直面したときに、「何も考えない」「力を抜く」が建設的なプランだと私は到底思えないのです。

今回は「何も考えない」について考えてみます。

まず、「何も考えない」ことの難しさを考えてみてください。これを実現できれば高僧の仲間入りです(笑)。では、なぜレッスンで上手くいった時に「何も考えなかった」と感じたのでしょうか?それは、おそらく「いつも考えていたことを考えなかった」ということを指しているように思います。

たとえば私がレッスンの中で、頭と背骨の関係を自由にして、あとは身体の機能が働くのを邪魔しないようにして演奏してみてください、とお願いしたとします。その場合、生徒さんは演奏するときに「いつもと違うこと(=頭と背骨、など)」を考えています。生徒さんの中ではそれは「演奏時に考えること」にカテゴライズされていないので、どうやら「あれ?何も考えなかったのに上手くいきました」と感じているようなのです。

どうかそこで時間を取って考えてください。「何も考えないからうまくいったんだな」と感じたとおりに「何も考えない、何も考えない…」という安易な方法を採用するのではなく、「上手くいった時は、いつもと違うを考えていたのか」を考えていただきたいのです。手っ取り早く言ってしまえば、頭が背骨の上で楽にバランスをとって、身体の機能が存分に働くように、という建設的・意識的な思考がパフォーマンスの向上を生み出したことを自覚的に体感して帰っていただきたいのです。そうでないと、レッスンが終わって生徒さん一人になった時に「あれ?レッスンでは上手くいったのに…」ということになってしまいます。

アレクサンダー・テクニークは「動き」を扱うメソードですが、それは目に見える「動き」を通して、目に見えない「思考」を変化させることによってパフォーマンスを向上させるメソードなのです。

私のレッスンの目標は、すべての生徒さんが自分自身のよき教師になることです。
次回は、もうひとつの「力を抜く」という言葉について考えてみたいと思います。

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